毎年5月末に発行している「あゆみ」から、修了式園長式辞を再掲しました。

◆平成25年度(H26.3.15)

 今年度は天候に恵まれて行事を行えることが多く、園の改築工事もほぼ予定通りに終了しました。しかし、「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉が示す通り、三月は積雪、また今朝は雪のちらつく中で、修了式を迎えることになりました。厳しい寒さですが、本日ここに多くのご来賓の方々にご出席いただき、保護者の皆様に見守られ、第49回修了式を挙行できますこと、厚くお礼申し上げます。
 修了生の皆さん、ご修了おめでとうございます。
 皆さんはこども園で、いろいろなお友達と交わり、仲良く生活していくことを学びました。これからは小学校と言う少し広がった世界で、勉強することも学んでいくようになります。少しずつ体験する事柄が増えていきます。どんなことを勉強するのか、とても楽しみですね。
 この修了式を前に、園長先生は保護者の方から修了生の皆さんに「何かメッセージをください。」と頼まれました。いろいろ考えて書いたのが、「勉強ができるようになる方法」です。後で読んでみてください。
 園長先生は小さいころから運動が得意ではありませんでした。かけっこはたいていビリでした。でも、紙に答えを書くテストは、勉強さえすればよい点数が取れたので、かなり得意でした。ご来賓の理事の奥さまは、先生が中学校のときの体育の先生でしたが、運動では劣等生だった園長先生が、保健体育のテストでよい成績を取ったことをとてもほめてくださったことをよく覚えています。
 それで、こうすれば勉強がわかるようになるんじゃないか、と思ったことを書いてみました。大切なのは繰り返しすること、そして続けることです。皆さんが試してみてくれるといいなと思います。
 保護者の皆様、本日はお子様のご修了、おめでとうございます。こどもたち一人一人が、堂々と修了証書を受け取る姿を感慨深くご覧になったことと存じます。こどもたちが巣立つ先が希望に満ち溢れた世界であることを願わずにはいられませんが、そこはまた様々な困難が待ち受ける世界でもあります。

 ぞうきん  こまった時に思い出され  用がすめばすぐに忘れられる  ぞうきん
 台所のすみに小さくなり  むくいを知らず  朝も夜もよろこんで仕える
 ぞうきんになりたい

 昨年、とある研修でこの詩を紹介され、感銘を受けました。そのとき、教育に当たってはこのぞうきんのような気持ちでいる、と講師だった同志社大学の川島先生が言われました。
 幼児教育の現場は、変革の嵐の中にあります。しかし、根元のところは変わるはずもなく、教師や保育者さらには保護者も、こどもたちにとって、こんな、ぞうきんのような存在であることが求められるのではないか、と考えているところです。

 ぞうきん  こまった時に思い出され  用がすめばすぐに忘れられる  ぞうきん
 台所のすみに小さくなり  むくいを知らず  朝も夜もよろこんで仕える
 ぞうきんになりたい

 最後に、日頃より保護者の皆様から本園の教育に対し、深いご理解とご助力をいただいていますことに感謝申し上げ、式辞とさせていただきます。 
 
◆平成24年度(H25.3.16) 

 気温の変化が激しく、強風に見舞われることの多かったこの冬ですが、それでも確実に春は巡り来て、晴れ渡った今日の日を迎えることができました。本日ここに、ご来賓の方々のご臨席を賜り、多くの保護者の皆様が見守られます中で、第48回修了式を挙行できますこと、厚くお礼申し上げます。
 修了生の皆さん、ご修了おめでとうございます。みなさん一人一人が、堂々と修了証書を受け取る姿はみなさんが園で学んだことをしっかりと身に付けてきた結果だと、感慨深く、思いました。
 ところで、みなさんは、園バスに書いてある言葉を覚えていますか。「遊ぼ、学ぼ」ですね。これは前の園長先生が、園の教育方針をわかりやすく表現するために作りました。
 「遊ぼ」は、身体をたくさん動かして、みんな一緒に仲良く遊ぼう!と言うことなのですが、遊ぶのは身体を動かすだけではありません。たとえば、鬼ごっこするにもルールがあります。それを知らなければ、楽しく鬼ごっこをすることはできません。また、本を読んだり、パズルをしたりすることも、遊ぶことですね。でも、本を読むには字を知らなくてはならないし、パズルを楽しむには考えなくてはなりません。だから、「学ぼ」なんです。
 学ぶ、は勉強すること。楽しく遊ぶためには、いっぱい勉強する必要があります。たくさん遊んで、たくさん学んできました。小学校へ行っても、楽しく遊び、楽しく学んでください。
 保護者の皆様、本日はお子様のご修了、おめでとうございます。幼児期のこどもたちの成長には目を見張るものがあります。入園式では、式の意味もわからなかったこどもたちが、今日ここで、人生の節目節目で迎える「ハレの日」の儀式を初めて学びます。保護者の皆様にはお子様の誇らしげな様子をどんなにかお喜びのことと思います。
 さて、1930年代にNew York Evening Postの記者リンカーン・ステファンズが、こんな記事を書きました。
 Nothing is done. Everything in the world remains to be done or done over.
 「成し遂げられたものなんてまだ何もない。この世界にあるすべてが、これから成し遂げられるのを、あるいは、もっと優れたものに塗り替えられるのを待っている。」このあと、「最高の絵画はまだ描かれていない。最高の演劇も生まれていなければ、最高の詩もまだ歌われていない。」と続きます。
 今ある最高の絵画や、演劇、あるいは科学などすべてのものが、ここにいるこどもたちによって、より優れたものに塗り替えられるかも知れないわけです。成し遂げる可能性を持ったこどもたちが、大きく羽ばたいてくれることを願ってやみません。
 認定こども園となって二年目、二重行政のちぐはぐさを痛感している昨今ですが、保護者の皆様の深いご理解とご助力をいただいていますことに感謝申し上げ、式辞とさせていただきます。

◆平成23年度(H24.3.17)

 三寒四温と言いますが、気温やお天気の変化が激しい中にも、うぐいすの声が聞こえる季節になりました。本日ここに、ご来賓の方々のご臨席を賜り、第47回修了式を挙行できますこと、厚くお礼申し上げます。
 修了生の皆さん、ご修了おめでとうございます。皆さんは、長い歴史を誇る、昭和幼稚園の修了生であると同時に、昭和認定こども園の栄えある第1回修了生です。また、前園長を見送った、忘れられない年の修了生にもなりました。
 さて、皆さんは、空を飛ぶ夢を見たことがありますか。小さい子供たちがよく見る夢だそうなので、きっとあると思います。 先生は、一回だけ宇宙を飛んで宇宙人に会った夢を見たことがあります。宇宙服も何も着ていなかったのに普通に話せました。夢ですからね。
 先月亡くなった園長先生は、よく空を飛ぶ夢の話をしていました。気持ちよく空を飛んで、空の上から美しい風景を眺める話です。夢の解釈にはいろいろありますが、先生はそれを自由な発想、可能性を持って、未来に羽ばたこうとする気持ちが夢に現れるのだと思っています。前園長先生の空を飛ぶ夢は、海外を旅し、美しい絵を描くことにつながりました。
 大きくなると、小さいころできると思っていたことが、だんだんに簡単にはできないことに気がつくようになります。人間は鳥のように空を飛ぶことはできませんから。でも、人間も空を飛ぶことができます。そう、飛行機やヘリコプター、ハングライダーなどに乗って。到底できないと思っていたことが、形を変えてできるようになるのです。
 今、皆さんは、小さいころできなかったことがどんどんできるようになりました。小学校に入ってもまたいろいろなことを学び、どんどん成長していきます。でも、きっと到底できないと思う壁にぶつかることがあると思います。そんなとき、空を飛んでみてください。心を自由に空に飛ばしてみてください。きっと解決できる方法が見つかることと思います。
 保護者の皆様、本日はお子様のご修了、おめでとうございます。児童文学作家の灰谷健次郎さんに「ひとりぼっちの動物園」と名づけられた短編集があります。この本の扉にとてもすてきなことばが書かれています。

    あなたの知らないところに  いろいろな人生がある
    あなたの人生が  かけがえのないように
    あなたの知らない人生も  また かけがえがない
    人を愛するということは  知らない人生を知るということだ

 まだ子供たちには少し難しいかもしれませんが、年長組さんの修了を目の前にして、人生を終えなければならなかった前園長を思い、子供たちへの、はなむけにしたいとご紹介させていただきました。
 この一ヶ月あまり、毎日を夢の中にいるような思いで過ごしてまいりました。皆様のご助力を得て、何とか本日の栄えある修了式を迎えることができ、感謝申し上げます。私が後任を勤めさせていただくことになりましたが、修了証書等はすべて前園長名で出させていただきました。前園長の法名は「慈景院釋義章」と称します。子供たちを慈しみ、美しい風景をこよなく愛した人でした。ご理解賜りますようお願い申し上げます。
 これから先、幼児教育や保育の制度がどのような変化を求められるか、予測がつきませんが、本園は子供たちが初めて社会生活を経験した場として、この地にあり続けます。この場に集われました皆様の深いご理解とご助力に感謝申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。
 

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